掘り起こし営業とは?休眠顧客へアプローチする効果的なノウハウ

中小企業診断士と営業方法

日々の業務に追われ、過去に接点がありながらも商談に至らなかった顧客に対するアプローチを忘れていませんか。

新規顧客開拓ばかりに目が行きがちですが、営業活動はそれだけではありません。

この記事では、企業にとって営業資産ともいえる、休眠顧客へアプローチする「掘り起こし営業」の効果的なノウハウについてご紹介します。

掘り起こし営業とは?

「掘り起こし営業」とは、過去に自社の商品やサービスに興味関心があり、資料請求や問い合わせなどのアクションがあったにも関わらず、離れてしまった顧客(休眠顧客)を「掘り起こし」て、再び商談へとつなげる対象にしていく営業手法のことです。

また、営業担当者がアプローチをしている間に、何らかの理由でコミュニケーションが疎遠になってしまった顧客に対して、再度アクションを起こすことも「掘り起こし営業」のひとつです。

新型コロナウイルスの流行によって生まれた「新しい生活様式」で、私たちの生活スタイルは大きく変わりました。

対面や大人数を集めての営業活動に引き続き制限がある中、掘り起こし営業の重要性が再認識されています。

掘り起こし営業のメリット

掘り起こし営業のメリットは、休眠化していた顧客をアクティブにして新しい案件を創出するだけではありません。

ここでは、そのメリットをさまざまな角度からご紹介します。

1.働き方の変化

平成30年に公布された働き方改革を推進するための法律をきっかけに、これまでの働き方を是正していこうとする社会的気運が高まっていましたが、新型コロナウィルスの流行で、この流れが一気に早まりました。

テレワークを導入する企業が増えたことで、オフィスからは人が減り、これまで当たり前であった飛び込みや訪問、電話連絡等の営業が難しくなりました。

このように営業活動に制限がある今、すでに取得している”宝の山”に目を向けることの重要性が再認識されているのです。

手元にある顧客情報を活かし、対面で接することなく見込み客にアプローチできる「掘り起こし営業」が効果的になされていないのは、重大な機会損失であるといえるのではないでしょうか。

2.費用対効果

新規に顧客を獲得するには「広告」「イベントやセミナーの企画・開催」「アポイントメントの獲得」「電話、DM、メールなどの継続的な働きかけ」など、費用だけでなく時間もかける必要があります。

対面や大人数での集客が難しくなっている中で、費用や時間をかけるこうしたアプローチにどれだけ効果があるのか、企業としては非常に難しい判断となります。

そう考えると、これまで接点があった休眠顧客に働きかけ、関係を再構築してゴールを目指すほうが、費用対効果が高いことは明らかです。

掘り起こし営業は、新規開拓よりもコストを抑えて案件を獲得できる方法なのです。

3.効率的

休眠顧客に働きかけることは、コスト面だけでなく効率的であるところも、大きなメリットだといえるでしょう。

過去に接点があったのですから、すでに自社の商品やサービスの情報をある程度持っていますし、対面で営業したことがあるのなら、面識もあります。

つまり、休眠顧客をアクティブにすることができたら、その後のプロセスを効率的に進められるということです。

ここでの大切なポイントは、その顧客が「休眠した理由」を詳しく分析するということです。

休眠からアクティブに持っていくためにはどんなアプローチをしたらよいかを、顧客の立場になって慎重に考案・設定しましょう。

4.きっかけとタイミング

顧客が商品やサービスを新規に検討するには、きっかけが必ず存在します。

営業活動として注目したいのは、きっかけから発生する目的を達成させるタイミングです。

例えば、会社で使っている複合機でプリントアウトした印刷物の色味について、あるスタッフからクレームがあったとします。

調べてみると、かなり使用年数が経っており、そろそろ買い替え(入れ替え)の時期であることが判明しました。

これが「きっかけ」です。

そしてこのきっかけから、複合機を新しく導入するという「目的」が生まれます。

今、この会社に複合機の導入について営業をかければ、検討材料のひとつとして取り上げられることは間違いないでしょう。

以前、複合機の営業をしても響かなかった顧客でも、タイミングが合えば成約の可能性が格段に上がるのです。

商談に結び付かなかったといって放置するのではなく、掘り起こしをして、顧客のきっかけとタイミングに合致するまで、丁寧にアプローチすることも大切なのではないでしょうか。

5.改善のヒント

顧客が休眠化するには、何かしらの要因があります。

その要因を丁寧に分析していくと、自社の商品やサービスの内容だけでなく、営業のフローや顧客へのアプローチ方法などの改善点が見えてきます。

一度は自社に興味を持ったにも関わらず、顧客が離れてしまった原因を突き止め、商品やサービスだけでなく、営業方法の改善に活かしましょう。

自社を顧みる機会が得られ、これから取るべき施策のヒントが得られるのも、掘り起こし営業に取り組む大きなメリットです。

 

なぜ休眠顧客に?

先述どおり、顧客が休眠化するには、何かしらの要因があります。

その顧客が休眠状態になった要因を見極めることが、効果的なアプローチを決めるポイントとなります。

アプローチ方法を検討する前に「休眠した要因」について、しっかりと理解しておくことが大切です。

顕在層(購入・導入に近い)顧客の事情の例

・商品やサービスの内容が求めているものと違った

・価格が予算に見合っていなかった

・比較した結果、競合他社を選んだ

潜在層(将来的に導入・購入を予定)顧客の事情の例

・検討材料として情報を収集しただけ

・未だ検討中

自社営業側の事情の例

・資料請求や問い合わせがあった後、継続的なフォローができなかった

・他業務やキャンペーンなどで、顧客に対するアプローチの優先順位が下がった

・日々の業務の中で手が回らず、放置してしまった

 

上記はほんの一例であり、顧客によってさまざまな要因があります。

効果的なアプローチにつなげるために、休眠した要因は正確に把握しておきましょう。

掘り起こし営業の方法とポイント

掘り起こし営業のメリットや、顧客の休眠化の要因について触れてきました。

では、実際にどのように進めていけばよいでしょうか。

step1 顧客の状況を整理してリストアップ

休眠顧客すべてに対して、同じ方法で掘り起こし営業するのは得策でないことはお伝えした通りです。

まずは顧客の現在の状況を整理して、カテゴリーごとにリストアップします。

成約へとつなげられる確率が高い顧客を見極めることからスタートしましょう。

step2 適切なアプローチを準備する

掘り起こし営業をする顧客がリストアップできたら、次は適切なアプローチを準備します。

どんな要因で休眠顧客となってしまったのか、その内容によってアプローチ方法は変わってきます。

例えば、先述の顕在層顧客の場合は、すでに他社で商談が成立している可能性があります。

この顧客に対してまず取るべきアプローチは、現状確認です。

もし他社から購入・導入済みだとしたとしても、将来的に必要になる商品やサービスなど、違った切り口のネタを用意しておくと、新たな商談につながる可能性が生まれます。

自社営業側の事情で休眠状態になったのなら、再び関係を構築することから始めましょう。

step3 アプローチを実施する

掘り起こし営業のアプローチの具体的な手段について、いくつかご紹介します。

メール

すでにメールアドレスを取得している場合、メールでのアプローチは、無料ですぐに取り組むことができます。

新商品・新サービスの案内や、無料セミナー開催の告知、顧客にメリットのあるキャンペーンなどの情報を一斉送信でき、またどれくらいの人が読んだのか、メールの開封率も確認できます。

メールのデメリットは、読むか読まないかは受け取り側に任されているというところです。

せっかく送信しても読まれなければ、アプローチしたことにはなりません。

開封率を上げるためには、読みたくなるメールタイトルを付けるようにしましょう。ただし、開封率を優先し内容を偽るようなタイトルは逆効果なので注意が必要です。

DM

DM(ダイレクトメール)は、自社の商品やサービスの資料を送付したり、イベントやセミナーの開催を封書やハガキでお知らせしたりする、紙媒体を使ったアプローチ方法です。

メールと異なり、サンプルやノベルティを同封できたり、紙として情報が顧客側に残るところがDMの特徴です。

目を通してもらえるよう、紙面デザインを工夫して透明のOPP封筒で送付したり、開けたくなるような仕掛けを封筒に仕込んだりなどの工夫が必要となります。

電話

電話は、顧客と直接話すことができる効果的な営業アプローチです。

相手の現状をヒアリングして、正確な現在地を把握し、今後どのようなアプローチが適切なのか、判断できます。

メールやDM送付では分からなかった「担当者の異動・退職」についても、電話なら直接確認をすることができます。

一番最初の電話でいきなり営業をかけるのは、逆効果になることがあります。

まずは、挨拶からスタートして、顧客の現在の状況を把握することに努めましょう。

step4 顧客の状況に合わせた適切な対応を

顧客の状況を整理し、準備したアプローチ方法を実施したら、次はどのような対応をしていくかを判断します。

休眠顧客をたくさん抱えている企業なら、一斉送信したメールの開封状況や、メール内に記載した商品・サービス案内のURLのクリック行動のデータをもとに、次に進めていく顧客を絞っていくことができます。

電話で顧客の現状を把握できた場合は、今後の対応について、より具体的なシナリオを作ることができるでしょう。

まだ潜在層である場合は、顧客を育てて案件化していく「ナーチャリング」という方法があります。

過去に自社商品やサービスに興味を持ったことがある顧客なら、今後の対応次第で成約の可能性は出てくる可能性があります。

メールマガジンやWEBコンテンツを充実させ、休眠顧客を自社商品やサービスのファンに育てていきましょう。

(掘り起こし)営業に活かせる顧客情報の管理

休眠顧客をアクティブにしていく掘り起こし営業について、これまで触れてきました。

実際に進めていくと、自社の顧客情報の管理体制に疑問を持つ人も出てくるのではないでしょうか。

顧客情報を適切に管理していくことは、掘り起こし営業だけでなく、営業活動全体にいい効果をもたらします。

顧客情報の適切な管理

休眠顧客を効果的に掘り起こすには、顧客情報が適切に管理されているのかがポイントになります。

会社名や担当者名、住所、電話番号やメールアドレスなど、基本的な情報が欠けていたら、補完するようにしましょう。

また、これまでの接触履歴やそれに対する先方のアクション等、より詳細な情報が休眠顧客に対する効果的なアプローチにつながります。

日々の営業活動の中では、顧客に対してどのようなアクションを起こし、どのステータスに今あるのか、記録を残すようにしましょう。

商談が進まなかった顧客については「商品・サービスが合ってない」「購入タイミングが合っていない」等、その理由について記録しておけば、その後の掘り起こし時に役立ちます。

顧客情報の一元管理

営業担当者が個人で顧客情報を管理しているなら、会社全体で管理できるように一元化することを、ぜひ検討しましょう。

費用は掛かりますが、顧客管理システムを導入することも検討するのもひとつの方法です。

個人で管理していたものが一元化されれば、欲しい情報がすぐに誰でも手に入れられ、作業効率が上がります。

営業活動情報が共有され、他部署との連携や、担当者の異動や退職時の引継ぎもスムーズになります。

顧客情報を一元管理して、休眠顧客を会社の営業資産として管理・活用していくことは、会社の利益のために必要なアクションだといえるのではないでしょうか。

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まとめ

休眠顧客は「宝の山」です。

一度でも自社の商品やサービスに興味を持ったことがある顧客は、効果的にアプローチすれば、新しい案件として復活して成果につながる可能性を秘めています。

それには顧客情報の適切な管理と、その状況に合わせた適切なアプローチが欠かせません。

会社の営業資産である顧客情報を活かすためにも、その管理方法を今一度見直し、休眠顧客に効果的にアプローチする掘り起こし営業を、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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